オール・フィクション・ナンバーファイブ |
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たぶん、ぼくに愛がないせいで、こんなことになってんだと思います。
愛がないことで生じた悩みや問題というのは、生まれてから死ぬまで取り返しがつきません。
ぼくにはもう、無理なんです。
もう、取り戻せない。
あの時の後悔も、あの時の悲しみも、あの時の喜びも、あの時の幸せも、もう何も、ぼくの手元には残ってない。
ぼくが捨ててしまったからだ。
ぼくに愛がないから、ぼくは捨ててしまったんだ。
ぜんぶぜんぶ、ずっと大切にしたかったのに、放ってしまったんだ。
ぼくのせいだったんだ。
ぼくが許せないのは、知ってて乗っかったことじゃない。
ぼくに嘘をついたことを許せない。
乗らないと言って、乗りそうだから止めてくれと言って、ぼくはだから止めたのに、なのに嘘をついてまで、乗っかったんだ、君は。
君はぼくを殺したんだ、後ろから刺したんだ、それくらいのことをしたんだ。
Nの気持ちを、ぼくはもっとちゃんと代弁しなきゃならなかった。
そのことはぼくの落ち度だ。
でも、君なら、君だから、Nの気持ちをわかってやれたんじゃないのか。
ぼくが期待をし過ぎたのか?
ある意味、これは君を取るかNを取るか、という選択なのかもしれない。
ぼくは迷わずNを取り、そしてNに合わす顔なく、君たち二人の前から去りたいと思う。
二人とも、ぼくの友達だ、恩人だ、親友だ、戦友だ、った。
さようなら。
過ぎてしまった今、ぼくのせいだ。
ぼくには愛がなかったから、何にもできなかった。
これからだって、そうなんだろ?
一人で生きる、なんて生易しいもんじゃない。
誰とも生きていけない。
誰も愛せない。
これがぼくに与えられた罰だ。
これまでのことを思い出すよ。
高校時代に毎日一緒にご飯を食べたこと。
九州や三重に旅行に行ったこと。
美術館や博物館に行ったこと。
20歳になって、楽しくお酒を飲んだこと。
酔ったぼくが、君たちに迷惑をかけたね、本当にごめん。
本当にありがとう。
生きてて良かったと思えたことを、いつか訪れる最期の時には、まず君たちに感謝したいと思います。
さようなら。
投稿者 ccpe8m | 返信 (0) | トラックバック (0)